会長挨拶


日本景観生態学会長挨拶(学会の来し方、行く末)

会長 日置佳之

 

2018~19年度の学会長を務めております日置です。今年、2018年は本学会発足25周年にあたるので、少し会の歴史を振り返りながら、今後のあり方について考えを記してみます。

日本景観生態学会は、沼田真千葉大学名誉教授・千葉県立中央博物館長の呼びかけに応じて集まった有志により、1992年に国際景観生態学会日本支部として発足しました。当時、景観生態学に対する日本国内での認識はまだ低く、その時点での支部発足は先駆的でした。この時代は、米国の景観生態学の泰斗、FormanのLandscape EcologyやLand Mosaic が読まれ始め、急速に景観生態学に対する関心が高まっていました。日本支部は、2004年に日本景観生態学会に発展解消されて独立した学会となり、学会誌の名称は「景観生態学(Landscape Ecology and Management)」とされました。今年9月には、宮崎で第28回大会が開かれる予定で、本誌もで25号を数えます。

2005年には、英文学術誌Landscape and Ecological Engineering(景観生態学・生態工学誌)の刊行が開始されました。これは、ICLEE(International Consortium of Landscape and Ecological Engineering)という日本、韓国、台湾の学会の連合体を組織し、それを母体として、シュプリンガー(Springer)社という国際的に最も信頼度の高い出版社から刊行された国際誌で、東アジア初の景観生態学・生態工学・ランドスケープ計画の専門誌となりました。爾来、年2回の刊行を重ね、今年は14巻(Vol.14)を刊行中です。ICLEEは学術大会もほぼ2年に1回の頻度で開催しており、今年は11月に台湾で第9回大会が開かれる予定です。また、ICLEEを構成する日本国内の3学会(応用生態工学会、本会、日本緑化工学会)は、その頭文字をとってELRと称され、3学会合同大会も昨年名古屋の大会で3回と回を重ねてきました。このように、本会は国際的枠組みの形成や学際的交流に努めてきました。

私は、日本景観生態学会の今後の在り方として以下のようなことを考えています。
1つめは、研究活動の一層の活性化です。本誌への投稿数は一時低迷していましたが、編集委員会の奮闘もあり、最近は次第に増えてきています。修士論文の積極的な投稿促進などによる掲載論文数の増加が望まれます。2つめは、実務との連携です。国土計画、地域計画、グリーンインフラの整備などが、本会の学術的成果の主な応用分野ですが、関連する行政や業界との連携は、いまだ十分とは言えません。研究と実務の双方向の交流の活発化が望まれます。3つめは、若手の活躍の場の拡大です、本会の学風は、自由で非権威主義的であり、サロンのような雰囲気を持っています。これを活かして、若手研究者や大学院生が中心で活躍できる学会にしていきたいと思います。4つめは、本会の伝統でもある隣接領域や海外の学協会との一層の交流促進です。これら1つに1つについて具体化を検討していきたいと思います。

みなさん、本学会の活動を通して、生物多様性豊かで、美しく健全なランドスケープの形成に向けて、共に歩んで行こうではありませんか。